マイクロ法人を2023年3月に設立し、1年以上が経過しました。
1年でこんなことをやりました
マイクロ法人の運営は税理士なしの全てセルフで行い、1年の流れがわかったので、ここでマイクロ法人を1年運営したリアルな感想を書いていきたいと思います。
結論だけいうと、マイクロ法人の運営はセルフでやったとしても思っていたほど大変ということはなく、結果社会保険料もかなり節約になり、やってよかったと思っています。
金銭的にどのくらいの得になったか、手間はどのくらいだったか、詳しく書いていきますので是非お読みください。
- 大学院修了後教員採用試験不合格で一年浪人の後、合格
- 音楽教員として18年勤める
- 職場での人間関係や働き方に疑問を感じ、人生のこれからについて考え直す
- 2020年コロナがきっかけで副業を始める、2021年には副業収入6桁超え
- 教員を辞めることを決意、2023年3月に退職、5月には公務員時代の月収を超える
- 現在フリーランスをしながらマイクロ法人2期目
マイクロ法人の作り方完全解説記事はこちら
マイクロ法人1年目で金銭的メリットはどのくらいあったの?
私の場合は独身(扶養なし)で退職前年の収入は750万円程度、公務員をやめた3月に設立し、4月にすぐ自分の法人の社会保険に加入し、自分の会社名が入った保険証をゲットしました。
国民健康保険や任意継続の場合、会社員・公務員退職後一年目の健康保険料はかなり高額(月に50,000〜60,000円)になってしまいますが、マイクロ法人だと月7,000円くらいになります。
マイクロ法人やると決めたら退職後すぐに始めると金銭的メリットはかなり大きいですね!
もちろん1年目だけのことだけを考えてマイクロ法人設立してはいけませんが…
マイクロ法人じゃない場合の1年目の社会保険料
フリーランスの社会保険料は大まかに3つあります。
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳以上)
- 年金保険料
関連記事:【いつ?いくら?】フリーランスになったら自分で支払わなければいけないお金
仮に自分がマイクロ法人を運営せずにフリーランス一本だった場合、1年目(退職したて)の社会保険料がどうなっていたのかを試算すると以下のようになりました。退職1年目の国民健康保険料は前職(前年)の稼ぎで決まります。
健康保険料(国民健康保険) | 630,000円 |
介護保険料 | ‐(国民健康保険に含まれる) |
年金保険料(国民年金) | 200,000円程度 |
計 | 830,000円程度 |
国保に入ると1年目はめちゃ高い…
自分の場合だとフリーランス1年目の社会保険料は年間830,000円程度と試算されました。
「任意継続制度」という公務員時代の社会保険を2年限度で継続できる制度を使った場合は概算10万円くらいは安くなり、約730,000円となります。
マイクロ法人1年目の社会保険料と運営費
私が実際にマイクロ法人1年目の社会保険料とマイクロ法人運営費は以下の通りで、452,566円でした。
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
定款作成代 | 5,000円 | |
法人印代 | 6,380円 | |
設立登記申請代(印紙) | 60,000円 | 一律かかる |
証明書取得費 | 4,120円 | 印鑑証明や登記簿謄本など |
会計ソフト代 | 11,940円 | マネーフォワードスモールビジネスプラン 年末調整提出〜決算の3ヶ月だけ契約 年間契約なら35,760円 |
法人税申告費用 | 21,582円 | 「全力法人税」初年度の金額 |
法人県民税 | 18,300円 | 初年度だけ少し安くできた |
法人市民税 | 45,800円 | 初年度だけ少し安くできた |
健康保険料 | 82,404円 | 月6,867円×12ヶ月 |
厚生年金保険料(子育て支援金) | 197,040円 | 月16,420円×12ヶ月 |
計 | 452,566円 |
金銭面では普通のフリーランスより大幅に安くなるね。
マイクロ法人で社会保険料が安くなった額
上の表の合計と、フリーランス一本の時の社会保険料の額とを比較してみましょう。
- 国民健康保険の場合830,000円−マイクロ法人1年目452,566円=377,434円
- 任意継続の場合730,000円−マイクロ法人1年目452,566円=277,434円
国民健康保険と比較すると377,556円の得、任意継続と比較しても277,556円の得になりました。
自分は1年目にマイクロ法人は赤字垂れ流しだったので、役員報酬の節税効果はなかったのですが、うまく運営できれば、所得税が節税できるためここでの計算よりもマイクロ法人の効果が大きくなります。
さらにパートナーや子どもなどを扶養に入れた場合は家族の社会保険料の支払いがなくなるのでさらにお得になりますね。
自分の場合は独身・1年目赤字だったので、得になった額は今回のケースでは低い方であるはず。それでもこのくらいの金銭の節約効果がありました。
1年目に高くなる社会保険料をかなり節約できたことは大満足!退職と同時に設立して良かったです!
マイクロ法人の手間
いくら得するといっても法人作るわけだから、運営大変なのでは…
マイクロ法人は単なるフリーランスに比べて以下の手間が追加されます。
年間の概算所用時間 | |
---|---|
法人設立(初年度のみ) | 10時間程度 |
役員報酬と社会保険料の支払い | 0〜2時間 |
算定基礎届の提出 | 0.5時間 |
源泉所得税の納付書の提出 | 1時間 |
年末調整 | 2時間 |
決算と法人税支払い | 2時間 |
1年目は全部初めてだからちょっと大変だった…
マイクロ法人の手間は確かに結構あります。
特に1年目は設立の手間に加えて、全ての手続きや提出物が初めてなので戸惑うことも多かったです。
でも、2年目からは楽勝になりますよ。
マイクロ法人の運営に慣れた今は、普段はほとんどマイクロ法人のことは気にしないくらいになりました。
- 役員報酬は自動振り込み
- 社会保険料は自動引き落とし
- その他は通知が来たら前回とほぼ同じやりかたで対応
マイクロ法人に気を取られることはほとんどなくなったので、これで毎月の社会保険料がただただ安いとなると、やっておいて良かったーと思っています。
実感でどのくらい作業が増える感じなのかしら…
マイクロ法人をやることでいろいろの作業が倍になる、みたいな感覚は全くないです。
一年目が大変だったとはいえ、他の仕事に手が回らないって感じでは全然なかったですよ。
1年目に提出する書類などは逐一コピーなどを取っておくと2年目に同じ感じで提出できるので便利です。
その他マイクロ法人で良かったこと
その他マイクロ法人をやっていて良かったことは以下です。
- 「法人作ってるのー?すごーい」と言われる
- 社会進出してる感がある
- 企業に対するヘコヘコ感がなくなる
- 法人ならではのちょっとした特典
法人を作っていると人に話すと、(詳しく知らない人からは)「えー、じゃー社長なのー?すごーい」みたいに言われてちょっと優越感あります。
また銀行に行ったり、メールのやり取りなどで「御社」「合同会社○○様」みたいに呼ばれるため、社会進出している感も味わえてちょっとアガります。
また、今まで抱いていた「組織で仕事しているすごい団体」みたいな企業に対するイメージはなくなり、ふんふんそんなことしてる会社ね、くらいの感覚になります。(自分ですら設立できるものですからね)
また、法人ならではの他のメリットもあります。よく言われるのは役員社宅や経費の幅の広さですが、これは自分は享受できていません。
小さいところでは、ネットで業務用のものなどを購入する場合、「法人へのお届け限定」で同じ商品でも安くなっている場合があって得したことがありました。
マイクロ法人をやって損したこと・辛かったこと
- 設立したて〜1年終了までは運営が不安、時間が取られる
- 毎月の社会保険料の支払いが面倒だった
- 個人事業主とマイクロ法人とで確定申告2回
- 法人宛の郵便物が増える
損といえば金銭的にはないのですが、時間が取られるというのが痛いところでした。
一人会社なので実態は超絶シンプルなのですが、カタチ上出さなければいけない書類もあり、必要を全く感じない書類を作ることも…
年末調整の時に、自分の会社から自分個人宛に源泉徴収票を発行、とか一体何やってるんだっていう気持ちになりました(笑)。
マイクロ法人運営の手間の分だけ本業の仕事時間が減るというのが一番嫌なところでした。
今でこそ知識がついて運営に自信も出てきた私ですが、1年間の1クールの運営をやり終えるまではどこかでうまくいくかずっと不安でした。
でもやったことは全てこのブログにまとめてあるので、みなさんは安心してください。
社会保険料は今でこそ自動引き落としになりましたが、当初は毎月法人銀行口座からペイジーで支払いしていました。
事前支払いや年払いはなく、毎月〆切の月末には在宅必須だったため、旅行や実家帰省の妨げになって結構嫌でした。今は法人口座が引き落としに対応してくれるようになりました。
【マイクロ法人】役員報酬と社会保険料の計算と支払い方法
【完全解説】法人口座は必要?どこがいい?マイクロ法人の銀行口座選び
また、確定申告は2回、「個人事業主の確定申告」と、「法人の確定申告(決算)」行わなければいけないのも結構面倒です。
「個人事業主だけの人は一回でいいのかー」って羨ましく思います(その分お金は節約なのですが)。
あとは地味に法人の住所が公開されているので、いろいろなところから法人宛に郵便物が届くのが嫌だなと思いました。
致死量届くわけではないのですが、いちいち捨てるの、面倒なんですよね…。
さすがにセールスの押しかけとかは来てません。
マイクロ法人のコストを節約する裏ワザを教えます→こちらから
まとめ マイクロ法人はやって良かったよ
公務員(会社員)を辞めてすぐに設立したマイクロ法人を1年やってみたリアルな感想でした。
1年目で少なくても277,556円の節約ができたことは大満足です。
設立&1年間の運営にかかった概算時間(17.5時間)で計算すると、マイクロ法人を運営することで時給15,860円の仕事をしたのと同じになります。
効果抜群だったね!私もやろうかな。
また、社会保険料や税金、企業の仕組みなどについてもより詳しくなって、勉強にもなりました。
ただ、問題は2年目以降。
1年目は前職の稼ぎによって社会保険料が高くなることが決定していたので節約効果は抜群でした。
2年目からはフリーランスの稼ぎがある程度多くないとマイクロ法人の意味がなくなります(マイクロ法人じゃなくても社会保険が安いから)。
結構稼いだつもりでも経費が使えるので、所得ってなかなか高くならないところがある…
以下の記事の試算だと、2年目以降、経費を引いて220万円の所得がなければマイクロ法人の旨味はなくなる計算です。
【年収いくらから?】マイクロ法人の維持費と後悔しない判断ポイント(損益分岐点)について解説
マイクロ法人運営が楽になった分、ちゃんと稼がなきゃ!
コメント