フリーランスになる前に準備したお金って経費にできるの?カラーボックスとかパソコンとか買ったんだけど…
できます!
この記事ではフリーランスになる(開業)前に使った費用を経費にする処理について解説しています。
これからフリーランスを目指す方で起業に向けてオンラインサロンに入っていたり、仕事用の物を購入した方は、退職前の購入でも、開業前の費用でも、フリーランスになった後に経費にできますので是非この記事をお読みください。
「経費って何?」という方はこちらをまずお読みください。
結論10万円未満のものは「開業費」、10万円以上のパソコン等は備品などの「固定資産」として開業の日に計上することで、経費とすることができます。
開業費は放っておくと経費にならないのですが、開業年度でなく好きな時に経費にできるというドリーム要素があります。
退職前、開業前の準備のお金もレシートはちゃんと取っておいた方がいいのね!
会計ソフトでの実際の処理方法についても詳しく解説しますのでぜひご覧ください。
- 大学院修了後教員採用試験不合格で一年浪人の後、合格
- 音楽教員として18年勤める
- 職場での人間関係や働き方に疑問を感じ、人生のこれからについて考え直す
- 2020年コロナがきっかけで副業を始める、2021年には副業収入6桁超え
- 教員を辞めることを決意、2023年3月に退職、5月には公務員時代の月収を超える
- 現在フリーランスをしながらマイクロ法人2期目
10万円未満のものは基本的に「開業費」
- 開業前から所属していたオンラインサロンなどの会費や交通費
- 仕事で使う文具などの消耗品
上のようなもので10万円未満のものは「開業費」にできます。
パソコンを買っても価格が99,999円までなら消耗品の扱いなので開業費です。
10万円って税込?税抜?
インボイスに登録しているか、している人は税抜方式か税込方式かで変わります。
インボイス登録して税抜経理方式 | 税抜で計算 |
インボイス登録して税込経理方式 | 税込で計算 |
インボイス登録しない免税事業者 | 税込で計算 |
どのくらい前のものまで開業費にできるの?
どのくらい前の費用まで開業費にできるかという明確な規則はないようなので理論上はずっと前でもOKということになります。
しかし、一般的には半年や1年くらいのものを計上することが多いようですね。
「開業費」の会計処理
以下のような場合の開業費の処理について紹介します。
- 2024年4/1に開業(開業届に記載)
- 2023年4月〜2024年3月までの12ヶ月間、月額5,000円の起業オンラインサロンに加入していた
- 開業前の2月に開業後使用するカラーボックスを3,000円で購入
これを仕訳すると以下のようになります。
日にち | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
4/1 | 開業費 60,000円 | 元入金 60,000円 | ○年4月〜△年3月オンラインサロン会費 |
4/1 | 開業費 3,000円 | 元入金 3,000円 | ○/□ カラーボックス購入 |
いつ支払いをしたとしても日付は開業日である4/1であることに注意です。
消耗品であろうが交通費であろうが研修費であろうが、借方の項目は「開業費」になります。
元入金って?
開業当初は事業として持っているお金はゼロスタートです。現金も預金も持っていないことになるので、開業費を何で支払ったかという貸方の項目は「元入金」にしておきます。そうすると、「最初に事業にお金を入れておきました」という処理になるわけです。
実際にこれによって事業用のお金を預金に預けるなどは必要ありません。会計処理だけやればOK。
マネーフォワードの会計ソフトでの処理は以下のようになります。
左のツールバーの「手動で仕訳」→「振替伝票入力」をクリックして、以下のように入力し、「登録」でOK。
「開業費」はそのままだと資産、経費にならない
開業費を計上すると、じつは「費用」に分類されず、繰延資産という「資産」に分類されます。
ややこしく感じるかもしれませんがこれが逆に便利なんです。
この開業費は「繰延資産」という資産として計上されるので放っておいても費用(経費)にならず、その年の所得税が安くなりません。
しかし、開業費という資産は、開業年でもその後でも好きなタイミングで経費として計上できます。
普通だと、その年の費用はその年にしか経費にできないのに開業費はいつでもいいんだ!
例えばフリーランス1年目でまったく売り上げが立たなかった場合、安くしたいはずの所得税がそもそも少ないから経費計上をたくさんする意味もありませんよね。
ところが開業費は2年目でも3年目でも好きな時に経費化することができるので、売り上げのたくさん上がった3年目に開業費を取り崩して好きな分だけ経費化するということができます。
例えば前述した開業費の合計63,000円分のうち、1・2年目は経費化せず、3年目に40,000円だけ経費化することも可能。
その場合、1年目の4/1に開業費の計上をし、その後1・2年目はそのまま放置。
3年目の好きなタイミングで以下のような仕訳をします。
日にち | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
5/15 | 繰延資産償却 40,000円 | 開業費 40,000円 | – |
これで開業費を3年目に経費とすることができます。
マネーフォワードでの入力例は以下になります。
開業前に購入した10万円以上のものは「固定資産」で計上
10万円を超えるようなものは固定資産になるので、開業費にはできません。
てことは、15万円で開業前に買ったこのパソコン、経費にならない?
開業の日に固定資産として計上することで経費にできるので安心してください。
ですが、開業前の3/1に15万円のパソコンを購入した場合は以下のように仕訳をします。
日にち | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
4/1 | 工具器具備品 150,000円 | 元入金 150,000円 | ○/□ パソコン購入代金 |
日付は開業費と同じように4/1で処理します。
マネーフォワードでは以下のように入力します。
10万円以上のものの場合は開業費とは違って好きな時に経費化することはできず、1年目に一括で経費にしたり、1年目から何年かで減価償却という方法で経費化することになります。
- 10万円を超えるコンサルなどのサービスは固定資産になる?
-
特許権や借地権等の法律上の権利やソフトウェア(動画編集ソフトなど)、のれん(営業権)等の1年以上にわたって使用される資産は「無形固定資産」となり減価償却が必要です。
一方コンサル代やオンラインサロンなどのサービスに10万円以上支払った場合は外注費や研修費などとなり、固定資産にはならず全額経費にできます。
以下の記事で減価償却について解説しています。
開業費にできないもの
開業費にできないものは以下ですので注意してください。
- 敷金など、後々返還される費用
- せどりなどの仕入れに使ったもの
商品や材料の仕入れは開業してからってことになるわけね。
また、購入を証明するもの(レシートなど)がない場合は経費として認められなくなってしまうことがあるのでレシート類は絶対に取っておきましょう。
まとめ 開業したら会計ソフトはすぐ導入!
フリーランス1年目は開業費のような特別な会計項目もあるので、なるべく早めに会計ソフトを導入するのがおすすめです。
私が使っているマネーフォワードクラウド確定申告(パーソナルミニプラン)は、年額契約すれば月額900円で1,000円もしません。
確定申告間近にソフト契約していっぺんにやればお金も浮くよね〜。
って考えて、結局間に合わずに税理士に依頼して何万円も持って行かれた、ということになったら本末転倒です。
- 開業日に行う「開業費」の仕訳
- 家事按分って?
- 減価償却って?
- クレカの連携?自分の財布から仕事の費用払ったらどうする?
など、簿記3級を取得(2級は落ちた)した私でも、簿記のテキストでは習ってない項目が出てきて確定申告のための処理は最初はわからないことだらけでした。
4/1付で行う開業費などの仕訳も実際に4/1に会計処理自体を行う必要はなく、後日遡って行うことができますが、確定申告直前で焦らないように少なくとも数ヶ月前には導入をしてさわりながら処理しておくことをお勧めします。
会計ソフトは無料なものもありますが、物販など複雑になればなるほど有料会計ソフトがおすすめです。
無料のものを含めたおすすめ会計ソフトについて以下の記事で紹介していますのでぜひお読みください。
今回は以上です!
コメント
コメント一覧 (2件)
コギトさん初めまして。
とても分かりやすい記事をありがとうございます。
開業費についてなのですが、オンラインサロン・コンサルなど
形のないものでも10万円を超えた場合は固定資産になりますか?
確かにその場合だと固定資産税や減価償却の対象にはならないみたいですね!気づきをありがとうございます!