株を持ってて配当金とかあるんだけど、配当控除とかってやったほうがいいの?
私は米国株の配当もあるんだけどそれも配当控除できる?
この記事では配当控除と外国税額控除のしくみと確定申告の方法について簡単にまとめています。
国内株(日本株)の配当金や国内株投資信託の分配金を特定口座で受け取っている場合、源泉徴収されている20.315%の税金のうちいくらかを確定申告することで取り戻すことができます(配当控除)。
外国株(米国株など)の配当金は配当控除は使えません。
ただし外国株の配当金やETFの分配金にかかる外国税は「外国税額控除」という別の種類の控除でいくらか還付を受けることができます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告する方法を解説します。
証券口座からのデータを読み込む方式を覚えれば電卓打ったりする必要もなく簡単でしたよ。
外国税額控除は税額控除。限度額があり少額になる可能性がありますが、特にデメリットはないので確定申告をするならやっておいたほうが良いと思います。
一方で配当控除は所得控除。やって特になる人や大して特にならないor損になる人もいるので注意が必要。
配当控除は以下のどちらもに該当する方はやったほうがお得になります。
- 国民健康保険でなく、健康保険に加入している方
- 配当も合わせた所得の合計が695万円以下の方
国民健康保険の方は配当を総合課税にしてしまうことになるので健康保険料が上がってしまいます。
- 大学院修了後教員採用試験不合格で一年浪人の後、合格
- 音楽教員として18年勤める
- 職場での人間関係や働き方に疑問を感じ、人生のこれからについて考え直す
- 2020年コロナがきっかけで副業を始める、2021年には副業収入6桁超え
- 教員を辞めることを決意、2023年3月に退職、5月には公務員時代の月収を超える
- 現在フリーランスをしながらマイクロ法人2期目
配当控除とは?
国内株をは、特定口座(源泉徴収あり)で運用している方が多いと思います。
その場合は分離課税という方式が採用されています。
自動的に配当金のおよそ所得税15%・住民税5%・復興特別税0.315%、合計で20.315%が税金として源泉徴収され、残りが入金されます。
分離課税だから他の収入とは分けて税金をかけよう、って方式。なので他の収入が多くても少なくても20.315%になります
ところで配当は総合課税を選ぶこともできます。
確定申告で選択するわけですね。
総合課税を選ぶと、配当は事業所得や給与所得など他の所得と一緒に計算され、その全体に対して所得税率をかけて計算することになります。
この総合課税の場合の所得税率は以下になり、所得が高くなれば多くなります。
配当控除では、上の表示の税率から10%を引いた税率で配当金の所得税が計算されるという制度です(株元企業との二重課税を避けるため)。
つまり所得税率が5%の人や10%の人は配当金の所得税は(マイナスはないので)0%、20%の人は10%となります。
配当控除を使うと厳選徴収されてた20.315%よりも少なくなるから払った所得税が還付されるってことね。
逆に所得税33%の人の場合は配当控除で10%引いても23%となり、逆に源泉徴収額よりも高くなるため、配当控除しないほうがいいことになります。
配当金の税率を自分の所得に合わせることで、所得が低い人は得するってこと。
2024年に税制の改正があり、この計算には住民税も絡むことになりました。
結構複雑なため、ここでは説明を省きますが、結論配当控除にして特になるのは総合課税の所得が695万円以下になる人です。
詳しくは以下の動画で詳しく紹介されています。
ただし、所得が695万円以下とは言っても、誰でもやると得かというとそうでもありません。
配当控除をしないほうがいいケース
所得が695万円以下でも配当控除を利用しないほうがいいケースは以下です
- 国民健康保険に加入している人
- 配当控除を利用することによって配偶者控除や配偶者特別控除が受けられなくなる人
- 国内株をほとんどもっていない人
国民健康保険に加入している人
国民健康保険は前年の所得額によって保険料が決まり、配当控除を使って配当収入を総合課税にしてしまうと所得額が上がることになり、国民健康保険料が高くなります。
でも、国民健康保険料が高くなるより、配当控除で還付される額が多くなればやったほうがいいことになるよね?
これができるか簡単に調べてみました。
配当控除は2024年の制度改正後、住民税も合わせると配当金の最大7.8%が還付されます。
例として10万円の国内株配当金があったとすると、源泉徴収によって20,315円が徴収されていますが、7,800円が還付ということになります(実際には10%の所得税が10,000円還付され、2,200円分次の年の住民税が高くなって実質7,800円還付ということになると思います)。
さて、10万円を配当控除にし、所得が10万円多くなったときに国民健康保険はどのくらい多くなるのでしょうか?7,800円以上?以下?
このサイトで単身・39歳以下の方の国民健康保険料を試算してみました。
所得 | 国民健康保険料 |
---|---|
200万円 | 210,500円 |
210万円 | 220,200円 |
220万円 | 229,800円 |
230万円 | 239,300円 |
240万円 | 248,900円 |
所得が10万円高くなるごとにだいたい10,000円ずつくらい国民健康保険料が上がってますねえ…。
つまり、配当金10万円に対して配当控除を使うと7,800円還付はされるけど、10万円を所得に上乗せすることで10,000円近く国民健康保険料は上がるので、2,000円くらい損になりますね。
国民健康保険の方は配当控除はしないほうがよさそうですね。
私は退職後に任意継続制度を使っているんだけど…
任意継続制度や文美国保に加入している方は確定申告年度の次の年も継続するのであれば配当控除を使っても保険料は変わらないため、配当控除を行うメリットがあります。
国民健康保険?任意継続?文美国保?と疑問に思われた方は以下の記事も参考にしてください。
公務員・教員からフリーランスになったら保険証ってどうなるの?一番お得な健康保険制度について解説
配偶者控除や配偶者特別控除を使っている人
配偶者控除や配偶者特別控除を使っていて、配当控除をすることによってそれが使えなくなる場合は、損になることがあるため注意が必要です。
配当控除しても配偶者控除が維持できるならやってもいいかもね。
国内株をほとんどやっていない人
配当控除は米国株などには適用されないのは前述した通りですが、総合課税を選択すると、米国株の配当金による所得も総合課税に計上されてしまいます。
国内株配当金はちょっとで、米国株配当金はたくさんある方などは配当控除による得がわずかなのに所得税が増えてしまうという罠もありそうですね。
外国税額控除とは?
外国税額控除は先ほどの配当控除のような損か得かという話はないです。
米国株投資をやっているならやったほうがいいのですが、限度額があるため海外株配当以外の所得が少ない人は少額になります。
自分も米国株の配当金が年に10万円ほどありますが、3,000円ほどの還付でした…。
配当控除は外国株の配当やETFの分配金には使えないのですが、外国税額控除が使えます。
米国株の配当金は国内株と同じ20.315%に加えて、米国の法律による税金+10%が加算されて引かれたものが手元に入ってきます。
20.315%は取り返せませんが、10%は取り返せるのが外国税額控除。
ただし外国税額控除には限度額があります。
計算式は以下です。
所得税の控除限度額 = 当該年の所得税額 × 当該年の国外所得総額 ÷ 当該年の所得総額
所得税率が高い人ほど、外国株の配当金の額が多い人ほど、限度額は多くなる感じの仕組みですね。
米国株にめっちゃ突っ込んでる会社員などは限度額が多くなります。経費使って所得税率を抑えようとするフリーランスは限度額は低くなりがちです。
それでは以下から配当控除と外国税額控除の申告方法を解説していきます。
以下に紹介する方法を使えば簡単に確定申告できますので自分の状況をふまえて是非やってみてください。
配当控除や外国税額控除を申請するための準備
配当控除と外国税額控除、やってみたいけど、細かい計算とか超面倒そう…。
配当控除や外国税額控除は計算は複雑ですが、証券口座の「年間取引報告書」を使えばそれを転記するだけなので結構簡単です。
配当控除はXMLデータもダウンロードして、それを「確定申告書等作成コーナー」に読み込めばさらに簡単。
楽天証券やSBI証券で「年間取引報告書」のPDFやXMLデータをダウンロードする方法は以下です。
楽天証券の場合:「マイメニュー」→「確定申告サポート」→「配当・分配金・利金」の「取引書面」の「取引報告書等(電子書面)」を開きます。「特定口座年間取引報告書」の電子書面を開きPDFとしてダウンロード、また、「XMLで保存」をすればデータがダウンロードできます。
SBI証券の場合:「口座管理」→「電子交付書面」をクリックし、「閲覧」をクリックします。
届いているメッセージから「「特定口座年間取引報告書」電子交付のお知らせ」をクリックし、交付データのPDFファイルとXMLデータをダウンロードします。
これで準備OKです。
配当控除を確定申告する方法(確定申告書等作成コーナー)
以下では「確定申告書作成コーナー」を使って配当控除を申請する方法を解説します。
フリーランスが決算書から確定申告をするには以下の記事を参考にしてください。
フリーランスの確定申告の手順完全まとめ(青色申告65万円控除)
作成開始をクリックして、「所得税」をクリックして申告します。
↑「総合課税」に該当する所得と配当所得を打ち込んで行って、その合計(赤いところの下の方)が695万円以下の人は配当控除で得、という計算になります。
この画面で最終的に所得が695万円以下になるかチェックできますね。
「配当所得」の「入力する」をクリックします。
↑総合課税を選択して「「特定口座年間取引報告書」の内容を入力する」をクリックします。
↑XMLでダウンロードしたデータがあれば、上の「データで交付された特定口座年間取引報告書の入力」をクリックします。
書面で行う場合はPDFでダウンロードしたものを1件ずつ表の通り打ち込んでいく必要があります。
↑配当をもらっている証券口座のXMLデータを全て「ファイルを選択」で読み込みます。
自動で集計してくれるので確認しながら次々と画面を進めていってください。
↑この画面まで進んだら、それぞれの証券口座について「配当控除を入力」をクリックします。
↑中ほどにある「計算」をクリックすれば自動的に国内株式の配当控除が計算されます。
また、譲渡損失も自動で計算されます。
XMLデータを使うと何の計算もなく入力完了。
外国税額控除を申請する方法(確定申告書等作成コーナー)
外国税額控除も配当控除と同じ確定申告書作成コーナーの所得税の申請のコーナーから「確定申告書の作成」の「税額控除・その他の項目の入力」の画面(以下写真)で外国税額控除を入力することができます。
外国税額控除は配当控除の時のようにXMLデータの吸い上げはできないようなので、保存した「年間取引報告書」のPDFを見ながら入力します。
「外国税額控除額の計算がお済みでない方」をクリックし、表を入力していきます。
↑証券口座ごと、国を分けて入力をしなければならないので複数証券口座、複数国に投資している場合は結構たくさん入力することになりそうです。
自分の場合は2つの証券口座で米国のみを持っていたので2項目に分けて記入します。
国名:国名を記入
源泉・申告の区分:「源泉」を選択
所得の種類:「配当」と入力
所得の計算期間:その年の1/1〜12/31に設定
税種目:源泉所得税
納付確定日:その年の12/31
相手国での課税標準:年間取引報告書の「⑧国外株式または国外投資信託等」の「配当等の額」を入力(A)
納付日:その年の12/31
左に係る外国所得税:年間取引報告書の「⑧国外株式または国外投資信託等」の「外国所得税の額」を入力
入力項目は下部の雑誌の特集を参考にしました。
2の調整国外所得の計算には「A」の額(複数あれば合計)を記入します。
3以降は該当すれば答えて入力終了です。
この画面からすると、10,000円くらいの還付になるのかな、と思いましたが最終的な確定申告書を確認すると、3,000円くらいにしかなりませんでした。
まとめ 配当控除は見極め必須・外国税額控除はやっとけ
まとめると外国税額控除をやる経済的デメリットはないので少額でも還付を受けたいかたは申告がおすすめ。
米国株たくさんやっている人はマストですね。
配当控除は所得金額や、国民健康保険かどうか、配偶者控除を使うかなど見極めが必須になり、間違えると余計に税金を納めることになりますので注意。
今回の記事が参考になれば幸いです。
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