マイクロ法人はフリーランスがバカ高い国民健康保険料をお得に安くするために設立する法人のこと。
私の場合公務員を辞めてそのまま国民健康保険に加入したとすると国民年金も合わせて社会保険料を月に70,000円近く支払う試算でした。
しかし、マイクロ法人を設立し、4月分の社会保険料(健康保険と厚生年金)はなんと月23,287円になりました。
これぞマイクロ法人の威力!
この記事ではマイクロ法人設立後の役員報酬の支払いと社会保険料の納入方法について解説します。
1人でやっているからといっても毎月ちゃんと支払いや振り込みをする必要があります!
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- 現在フリーランスをしながらマイクロ法人2期目
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役員報酬額をそのまま振り込むわけじゃない!
マイクロ法人の収入の内、社長(代表社員)である自分に対して報酬を支払うことになります。
報酬は自分で決めることができますが、この報酬を安く設定するから社会保険料を安くできるわけです。結論12,000円程度(個人負担分の社会保険料の天引きができる最低額)〜45,000円(給与所得控除で所得税がかからない上限金額)で設定すると無駄な手間や税金もかかりません。
私も45,000円に設定しました。
さてこの45,000円の役員報酬ですが、この金額をそのまま振り込むわけではありません。
社会保険料の個人負担分を差し引いた金額を振り込みます。
社会保険料と役員報酬の振込額
役員報酬45,000円に設定した私の場合の毎月の振り込みは下記の表の通りです(細かい数字は年度や住んでいる都道府県によって違いますがおおむねこんな金額です)
自分への役員報酬振込額 | 33,514円 |
社会保険料支払い額 | 23,287円 |
考え方は以下の図ようになります。
- 年金機構は社会保険料額23,287円を法人に請求し受け取る
- 個人としての自分は役員報酬として、社会保険料の折半額11,486円を45,000円から差し引いた33,514円を受け取る
- 法人は、23,287円(社会保険料全額)+33,514円(天引き後の役員報酬)=56,801円を支出する
という建て付けになります。
え、ちょっと待って。この細かい数字はどこから出てきたの?
次に説明します。
社会保険料額と役員報酬振込額の決まり方
役員報酬の45,000円という数字は自分で決めるものなので良いと思いますが、
先ほど出てきた数字で
- 社会保険料額23,287円
- 社会保険料の折半額11,486円
- 役員報酬の実際の振込額33,514円
という数字はどのようにわかるの?と疑問に感じると思います。
社会保険料額23,287円
これは日本年金機構からの納入通知書に書いてある数字です。
年金事務所には社会保険の「新規適用届」と「被保険者資格取得届」を提出し、そこに役員報酬も書いて申告しているので、そこから計算されて「これだけの社会保険料払ってね」という通知が来るんですね。
この数字の額をそのまま法人口座から支払えばOKなんですね。
ペイジー(Pay-eazy)か銀行によっては可能な自動引き落としにすると毎月銀行に行かなくて済みます。
私は4月から社会保険(健康保険と厚生年金)を適用しましたが、4月分の支払いの通知が5月20日頃に来て、5月31日が期限でした。
社会保険料の折半額11,486円と役員報酬の実際の振込額33,514円
前の図であったように会社(法人)の場合、社員の社会保険料は社員と会社で折半して支払うことになります。
この場合実際の社会保険料の全額は23,287円であり、会社が代表して振り込みますが、その大体半額(折半額)の11,486円は社員が負担するため、元々の役員報酬額だった45,000円から折半額の11,486円を天引きしてた33,514円を実際の振込額として社員(マイクロ法人の場合自分の個人口座)に振り込みます。
じゃあ11,486円という額はどうやってわかるの?23,287円の単純な半額ではないよね?
この額は協会けんぽのHPから確認することができます。年度や都道府県によって変わってくるので注意してください。
上のリンクに飛ぶと見ることができる表、数字がズラっと並んでいますが、一番上を見ればOKなので怖くありません。
マイクロ法人で自分が設定している役員報酬は45,000円なので、この表の一番上の63,000円以下「等級1」に該当します。(①の部分を見てください。役員報酬が63,000を超えると社会保険料が一等級アップして高くなってしまいますね。)
自分が40歳未満なら「A」、40歳以上なら介護保険分も入るので「B」を見ます。
今調べたいのは社会保険料の「個人負担分(半分)」なので、「折半額」を見ます。
AまたはBの折半額と厚生年金保険料の折半額を足し、四捨五入(表の下の但書に説明があります)すると、1ヶ月の折半額がわかります。
この場合だと3433.6円+8052.00円=11485.6円→(四捨五入)→11,486円となります。
これで社会保険料の個人負担分が11,486円だとわかったので、45,000−11,486=33,514円を自分個人への報酬として振り込めばいいことがわかるわけです。
「新規適用届」の給与支払日に書いた日付で自分の個人口座宛に振り込みをします(別にその日でなくても良いようで、自分の場合は翌月末日にしました)
振り込みは毎月しっかり行うこと
役員報酬の振り込みは実質自分から自分への資金移動なので後でまとめて、と思ってしまうかもしれませんが、稼働調査などに備えて毎月きちんと行いましょう。
役員報酬は3月までは定額で自動支払い設定OK
社会保険料の料率が毎年微妙に変わるようです。料率が変わるタイミングは3月分から。3月分の社会保険料を支払うのは4月なので変更された3月分の社会保険料は4月分の役員報酬から天引きする計算になると思います。なので料率が変わった社会保険料によって役員報酬の額も変わるのは4月から、ということになります。
逆に言うと3月までは同じ社会保険料で同じ役員報酬ということになります(役員報酬を変更しなければ)
3月までは同じ額の33,514円(自分の場合)を支払日定額振り込み設定して支払うと便利です。
社会保険料の引き落とし以外での支払いは通知を見てから振り込み
社会保険料の支払いには3パターンの方法があります
- 自動引き落としを使う(対応している法人口座のみOK)
- 通知書を持って銀行窓口で支払う
- ペイジー(Pay-eazy)で支払う
①の自動引き落としにできると一番良いのですが、マイクロ法人で口座開設審査が通りそうな銀行で引き落としができる銀行はほとんどありません。個人口座からの引き落としは不可です。
とすると②か③の方法で支払うことになりますが、②や③では通知書を確認してから納付をしなければいけません。
社会保険料が同額なら通知を待たずに毎月自動で振り込み、とかできないの?
②の銀行へ直接行くのも通知書を持っていかなければいけません。
③のペイジー(Pay-eazy)で支払う方法は銀行に行く手間は減らせるものの、毎月末に届く通知に書いてある番号を見て銀行のオンラインサイトなどから納付手続きをしなければなりません。
通知書が届く月末から月を跨がずに納付しなければならないので、この時期に旅行とかに行けません…
この通知書待ちが微妙に面倒なんですよね…。
今後マイクロ法人としての実績が積めたなら是非口座振替OKの法人口座を開設したいと思っています。
こんな場合は?Q&A
- マイクロ法人の事業はまだ全然稼げてないんだけど…
-
マイクロ法人は結果赤字でも大丈夫。
稼ぎはないけど資本金などから個人としての自分に給与をだすことができます。
私もマイクロ法人を始めてまもなくは月の利益は20,000円以下。それでも45,000円の報酬に設定し、資本金から取り崩して役員報酬を払っていました。
- 役員報酬額は45,000円を超えても大丈夫?
-
63,000円未満なら社会保険料は最安に抑えられます。ただし給与所得控除の55万円を超えることになるので所得税が発生する可能性があります
- 役員報酬は変えたりできる?
-
役員報酬は一存で毎月変えたりすることはできません。事業年度開始(決算月の次の月)から3ヶ月以内に1年に一度だけ変更ができます。(3月末決算の場合は事業開始が4月1日なので、6月30日までに変更手続きする)
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コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして。こんにちは。
私も、現職を退職してフリーランスになろうかと検討しています。(まだ検討段階です。)
職種はIT関連なのでコギトさんとは異なりますが。
もしフリーになるとしたら役員報酬いくらくらいにしようかなと悩んでいて、ネットで検索してたらここにたどり着きました。
一つ質問です。
こちらのページでは役員報酬を45,000円に設定したとのこと。
そして手取りは33,514円とのことでした。
つまり、毎月の給料が33,514円しかないということになってしまっているのですが、それで個人として生活していけるのでしょうか。
光熱費とケータイ代・ネット代でそのくらい行ってしまいますよね。
それとも他に収入があるのでしょうか。だとすると、それは個人の収入となってしまい、節税出来ないですよね。
そこらへんはどう対応されているのでしょうか。
是非教えていただきたく。
今の手取りと変わらないくらいか、ちょっとアップするくらいに設定しようかと思っていたので、45000円はビックリしました。
※もし他の記事で記載済みでしたらまだ読めてないです。すみません。
ITエンジニアさん
初めまして!
フリーランスをお考えとのこと、応援したい気持ちでいっぱいです(^^)
マイクロ法人は個人事業主と併用する法人で、法人の稼ぎを最小限に抑えることで社会保険料を最安に抑える目的のものです。所得税を抑える目的ではありません。
自分の場合は個人事業主でメインに数十万を稼ぎ、法人では月数万(赤字なことも多いです)を稼ぐ、と分けています。
個人事業主で国民健康保険に加入すると稼いだ分だけおおく健康保険料が取られるのですが、全然稼いでない法人の健康保険に加入することで健康保険料が常に最安になるというシステムです。
個人事業主の所得税は普通に払います。